テニス肘(外側上顆炎)の治療と
※あくまで個人の感想であり、皆様に同じ効果が出るという事ではございません。
原因は肘だけとは限らない
今回のW・Mさんはずっと柔道をされている方で、体格もかなり大柄で筋肉が非常に厚い印象を受けました。
基本的に外側上顆炎(テニス肘)の原因は前腕の筋肉の緊張によるものが大半ですが、症状の強いものだとそれだけではない可能性があります。今回の方の場合ですと骨膜での炎症の他に、大胸筋、上腕三頭筋が大きく関与していましており、おそらく長年の柔道やトレーニングによる為だと思われますが、筋肉の緊張がとても強くうまく伸び縮みが出来ない状態になっていました。
大胸筋が緊張すると肩が内側に入ってしまう「巻き肩」になってしまうケースが多くみられます。この巻き肩の状態だと本来の肩~指先までの正しい運動連鎖が途絶えてしまう為、同じ運動や作業をした場合でも手首や前腕、そして肘にかかる負担が増加します。その為肩~指先のどこかに症状がある場合は必ず大胸筋をチェックすべきでしょう。
次に上腕三頭筋ですが、この筋肉は主に肘を伸ばす働きをします。この筋肉がかたくなってしまうと肩が挙がりにくくなったり、今回のように肘に痛みを生じる場合もあります。これは「トリガーポイント」というものによる影響です。トリガーポイントは筋肉がピンポイントで固まってしまったもので身体のどこにでも存在しえます。そして特徴としては原因の筋肉とは離れた場所に症状が現れることです。この上腕三頭筋のトリガーポイントの場合肘の後方から外側にかけて痛みを生じる為、外側上顆炎と混同されてしまうケースがよく見られます。今回の場合は外側上顆炎+上腕三頭筋のトリガーポイントという形でより症状を強めてしまっていたというパターンですね。
未分化の組織
関節周りの痛みは、未分化の組織が発生してしまう。これは欧米で発表された新しい知識です。
肘の痛みの原因として考えられるのは「未分化」の組織です。人間にはもともと自己治癒能力が備わっています。たとえば膝をすりむいてもしばらくするとかさぶたが出来て傷がふさがりますよね?それと同じようなことが外側上顆炎でも起こりうることがあります。問題の起きている場所の周辺で骨とも筋肉とも言えない未分化の組織が形成され、それが原因で症状を強めてしまったり、肘の動きを悪くしてしまうのです。今回の方の場合も肘の後方にこの未分化の組織が確認出来ました。
この未分化の組織が形成されている場合にはその組織を一度壊さなければいけません。つまりただ揉みほぐすだけでは症状の改善は難しいということです。当院では治療器や筋膜リリース、徒手による強刺激など状態に合わせた方法で未分化の組織を一度壊していきます(イメージ)。治療直後は少し痛みを伴うことがありますが、2~3日後にかなり痛みが抜けるケースが多いです。
注射は打った方が良いのか?
今回の方もそうですが肘の痛みで病院に行くと「注射を打ちましょう」と言われそのまま打ってもらったというお話をよく聞きます。それで治ってしまえばいいですが、実際に何回も注射を打っても治らなかったという方も少なくありません。
そうすると「注射は打った方がいいのか?」という疑問が出てくるかと思います。基本的に注射は痛みを取り除くだけで痛みの根本にある原因を解決することは出来ません。何回も繰り返し注射を打っても根本の原因は何も変わらず、逆に肘周囲の軟部組織がボロボロになってしまう可能性すらもありえます。しかしうまくいけば1回で痛みが消失するという大きなメリットがあることも事実です。
つまり注射は1度打って効果がない、あるいはまたしばらくして痛みが出現してしまう場合には、2回目以降の注射はおすすめしません。当院の考えとしては、根本からの改善を目指した方が良いでしょう。
計画的・継続的な治療が必要
どの症状にも共通する事ですがこういった慢性化しやすい症状の場合下記の事項がとても重要です。
- 症状の原因・見立て
- 具体的な治療計画
- 適切な治療法
- しっかりと継続すること
よく外側上顆炎の場合に、肘のまわりだけを診て前腕のマッサージと電気治療しかしてもらえなかったというお話をよく聞きます。当院では前述した通り、肘の痛みでもしっかり全体を診たうえで痛みの原因となる部分を探していきます。そしてどのような過程を経て治るのかという具体的な治療計画、その方の状態に合わせた適切な治療法、生活上での注意事項やセルフケア方法を説明・実施していきます。
また協力していただくという意味で、患者様には通院ペース、セルフケア、生活指導をなるべくお守りいただくようにお願いしております。
少しでも肘に痛みや違和感があると感じていらっしゃる方は、「なる.整骨院」へお問合せください。
もしぎっくり腰やどこか痛めてしまった場合はお早めにご連絡下さい!メンテナンスのご予約もお待ちしております!
【参考】