後遺症と後遺障害とは?
【後遺症】とは、交通事故後、急性期の症状(激しい痛みなど)を一定期間治療し、痛みが治まった後も、残る機能障害や神経症状の事を言います。
【後遺障害】とは、《交通事故により受傷し、一定期間の治療したが、残ってしまった症状や障害=後遺症》の内、一定の条件を満たし、等級認定されたものを【後遺障害】と言います。
後遺障害認定とは?
保険会社との示談交渉をする際、残ってしまった症状に対して、補償を受けようと思った場合、自賠責保険での後遺障害等級認定を受けていないと補償を受けられません。
たとえ、誰が見ても明らかな後遺症が残っていたとしても認定を受けていないと補償してもらえないのです。
その為、一定の治療期間が終わっても『痛み』や『痺れ』などの症状が残った場合は、保険会社と交渉するよりもまずは自賠責保険での等級認定を受けるように進める必要があるのです。
事前認定と被害者請求
自賠責保険の後遺障害認定には、二種類の申請方法があります。
① 加害者の保険会社に任せる『事前認定』と② 被害者自身で行う『被害者請求』です。
通常、保険会社に任せておくと『事前認定』で進められるのですが、その場、最低限の資料などで進められ、多くの場合は適切な後遺障害認定を受けることが出来ないようです。
一方、『被害者請求』では、自分の損害を自分自身で証明し、直接自賠責保険会社に請求できるため、適切な補償を受けることが出来ます。
しかし、自分自身で症状の具合を証明しなければならず、病院のCT画像やMRI画像、その他の資料など準備をしなければならないので手間はかかります。
もし、される方は担当の弁護士さんやサポートセンターなどに連絡し、必要な資料や書類などの詳細を教えてもらうのが良いでしょう。
多少手間はかかりますが、本当につらい症状をお持ちの方はこちらをおすすめします。
どんな症状があるのか?
たとえ、むち打ち一つにしてもどんな症状の種類があるのか知らない方は多いと思います。
そこで、一つの例として『むち打ち』についてご紹介します。
むち打ち症とは
むち打ち症とは、レントゲン写真などでは異常を認められない、
これといった原因が特定できないにも かかわらず様々な難解な症状、慢性疲労や、頭痛、めまい、 痺れ、などが現れる症状をいいます。
交通事故やコンタクトスポーツなどで起こりやすく、ぶつかった衝撃で首の骨がむち打つように曲がる際、本来の可動範囲を超えて伸展(後ろに倒れる)・屈曲(前に倒れる)することで首の靭帯や筋肉・神経が傷つき、痛みがでることを言います。
むち打ち症の種類
◇頸椎捻挫型
むち打ちと診断された中では、一番多く全体の70~80%はこれに該当すると言われています。
首の骨[頚椎]が衝撃を受けて、靭帯や筋肉が伸びてしまったり(捻挫)、傷ついた(筋挫傷)状態です。むち打ち症の中では比較的軽症に分類されますが、首や肩の凝り・違和感を訴えたり、首を後ろに倒した際、首の後部や肩全体に強い痛みが走ることがあります。
◇神経根症状型
[神経根]とは、背骨の間から神経が出てくる場所のことを言います。
ぶつかった衝撃で、神経が引っ張られたり、背骨によって神経が挟まれたりすることによって神経根の周りに炎症が起きて、その神経の働きを障害し支配領域に痛みが出るようになります。
<障害部位と症状>
[上位頚椎] ⇒ 大後頭神経領域(後頭部)への痛み・シビレなど
[下位頚椎] ⇒ 肩・腕への痛み・シビレ、上肢の筋力低下・萎縮、知覚障害など
◇バレー・リュー型
ぶつかった衝撃により、首の後ろを通る[交感神経]という自律神経の一つが、異常をきたして、脳へつながる血管を萎縮させてしまうことで起こると言われています。
<[バレー・リュー型]の主な症状>
1番多いのは「頭痛」、2番目は「めまい」、3番目は「耳鳴り・吐き気」。
他の上場としては以下の通りです。
耳の症状:難聴、耳鳴り、めまいなど
目の症状:目の疲れ・かすみ、視力低下など
胸の症状:胸の痛み、息苦しさなど
のどの症状:のどの違和感、声のかすれ、嚥下困難(モノを飲み込みにくい)など
◇脊髄症状型(低髄液圧症候群)
まず、脳と脊髄は、3層構造の膜によって包まれるようにして保護されており、その中は髄液という無色透明な液体で満たされています。
その髄液が何らかの原因で漏れ出してしまい、髄液が減少し、その圧力が低下することを脳脊髄液減少症といい、頭痛、頸部痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠感などの症状がみられます。
これらは起立位や座位により3時間以内に悪化しやすく、横になっていると徐々に症状が軽快することが一般的です。
また、脊髄が損傷してしまった場合、下肢のシビレや歩行困難、尿や便が出辛くなる膀胱・直腸障害などが起こる可能性があります。
後遺障害認定の対象について
『後遺障害』と聞くと、重い症状ではないと、認められないのでは?と思ってしまうかも知れませんが、そんなことはありません。
身体はとても繊細に出来ています。
いくら適切な治療を受けたとしても症状が残る可能性はあり、そんな症状であれば後遺障害認定を受けることは可能です。
後悔しないためにも、早めの準備をするようにしましょう。