セーバー病(シーバー病)・踵骨骨端症
セーバー病はスポーツをしている成長期のお子様に好発するかかとの痛みのことを指し、「踵骨骨端症(読み方:しょうこつこったんしょう)」とも呼ばれます。一般的には「踵の成長痛みたいなものだね。」と言われ運動は原則中止で安静、松葉杖と湿布を処方されるというケースが多くみられますが、それは本当に成長痛なのでしょうか?成長痛であれば運動をしているしていないに関係なく皆が経験しているはずです。つまり原因は他にあると当院では考えて治療にあたっています。
「骨端症」とは?
「骨端症」は成長期の子どもに好発する軟骨障害でスポーツをする子に多くみられます。子どもの骨は大人の骨とは違い、骨端軟骨(成長線)と骨端核というものが存在します。この骨端核が何らかの影響で血行不良に陥り、骨組織が変化または壊死してしまいます。原因の一つとしては骨に対する圧迫力と牽引力が挙げられ、代表的なものだと圧迫力:ペルテス病(大腿骨)・キーンベック病(手の舟状骨)、牽引力:セーバー病や当院でも多く診ているオスグッドも含まれます。
【参考】オスグッドとは?
基本的に運動は中止、湿布・アイシング・マッサージ・ストレッチ・温熱療法・電気治療・インソールなどが治療として行われることが多いようです。予後は良好とされていますが稀に変形や障害を残してしまうケースも見られます。
症状
☑走ったりジャンプするとかかとが痛い
☑アキレス腱の付着部に腫脹がみられる
☑腫脹部を押すと痛い
☑アキレス腱を伸ばすと痛い
☑痛みが強いとつま先歩きをする
レントゲン所見では踵骨後方の骨端軟骨が白っぽくなっていることが多いです。またアキレス腱炎と混同されることも多いためしっかりとした鑑別が必要となります。
原因
前述のとおり一般的にセーバー病は成長痛と言われており、ホルモンや成長期が原因とされています。身長は骨が縦に長くなることで伸びていきますが、それに対し筋肉の長さは変わることはありません。その為に身体のバランスが崩れやすくこういった症状を呈しやすいのです。しかしこのバランスに関しては子ども達全員に当てはまることでありながら、全員が骨端症になるわけではありません。ということはホルモンや成長期だけが原因ではないと当院では考えております。
〇 柔軟性の欠如
やはり筋肉の柔軟性に乏しいということはあらゆるケガ・障害の要因となります。セーバー病は下腿三頭筋(ふくらはぎ)・アキレス腱の牽引力によって引き起こされるものなので特に筋肉の柔軟性が深く関わってくるのです。この状態でスポーツを行っているとアキレス腱への伸張ストレスが増加してしまい、結果的に踵骨後方の成長軟骨に障害をきたしてしまいます。
〇 関節可動域の低下
セーバー病において重要となるのは足関節(足首)の可動域です。最近ではかかとを地面につけたまましゃがむ動作(蹲踞)が出来ない子どもが増えてきています。これは足関節の可動域が狭いことを表しており、アキレス腱の伸縮する範囲も限られてきてしまうので必然的にアキレス腱の柔軟性の低下を引き起こします。
〇 骨盤の左右差
セーバー病をはじめ骨端症は基本的に片側に起こることが大半です。当然各競技ごとの競技特性も関わってきますが、根本には骨盤の左右差が潜んでいるケースが多くみられます。骨盤の左右差は脚長差を生じることになり、その結果片側のみストレスが過剰にかかり発症へと繋がってしまうのです。
治療方法
一般的な治療方法
- 運動中止(安静)
- 湿布
- アイシング
- マッサージ
- ストレッチ
- 物理療法
- 温熱療法
- インソール
一般的にはセーバー病に対しては原則は運動中止、場合によっては松葉杖をついてもらうということもありますが、当院では松葉杖をつくことはあまり推奨しておりません。確かに安静という面から見ると良いかもしれませんが、松葉杖をついて生活をすることで不必要な足関節の拘縮や患肢の筋力低下を招いてしまい、かえって競技への復帰時期が遅くなってしまう可能性があります。
またよく痛みのある際にはアイシングをして下さいと指示を受けることもありますが、当院では受傷後直後のみ、アイシングを5~10分程度して下さいとお伝えしています。受傷して数時間後にアイシングをすることはあまりお勧めできません。過度にアイシングをし続けることは、良い組織(傷めていない組織)も血流が阻害されてしまいます。近年、海外では直後のみしかアイシングをしません。もしくは全くしないとも言われて来ております。過度にアイシングや固定を勧めるのは、一昔前までかもしれません。
当院での治療方法
➊ 筋弛緩の徹底指導
セルフケア・予防にも記載がありますが、1番重要なところとなります。どの筋肉のどの箇所に原因があるのかを追求し、お伝えします。そしてセルフケアを徹底していただきます。
❷ 骨盤・バランス調整
検査において分かった骨盤の歪みやズレ、アンバランスを整えていきます。当院では解剖学的肢位に近づけることで痛みからの解放が得られると考えています。これは、KYテクニックにて世界でも認められ、日本でもこれからDr.(ドクター)にも認められるであろう理にかなった治療法です。
❸ 関節調整・矯正
足関節をはじめ関節可動域の狭い方に対しては関節自体を調整・矯正することもあります。矯正自体は患者様への負担が少なくお子様にも安心して受けていただけます。
❹ 特殊治療器
関東には当院のみ導入している定電流治療器『AAP』を用いて患部の治療を行います。西日本では、甲子園と香川県「feeel」でしか扱いのない特殊な治療器で、傷めた組織の回復を図る事に非常に効果が高い治療器です。この特殊治療器は炎症の抑制や神経由来の痛み、さらに筋肉や靭帯、骨が原因の痛みに対しても効果的です。
【参考】小学生の両踵の痛み・1回で治癒
予防・ケア方法
オスグッド同様、セルフケアがとても重要となります。当院では、しっかりとセルフケアをお伝えし1日も早い改善と再発予防を徹底します。このセルフケアなくして早期改善は見込めません。
➊ 足の指をしっかり使う事
踵が痛い子供・大人も多くの方が、踵重心です。そして、足の指を使う事が出来ません。毎日足の指をしっかりと使う訓練をしましょう。
❷ ふくらはぎ・すねの筋肉のストレッチ・マッサージ
セーバー病の予防にはまずふくらはぎと脛の筋肉のストレッチを行うのが効果的です。運動前後、特に運動後はゆっくりと時間をかけて行いましょう。
❸ 足首回し
足首回しで足関節の可動域を拡げることも重要となります。基本的には足首を手で持って回しますが、手の指で足の指の間を拡げながら行うと足底筋膜に対しても効果があるためおすすめです。
踵の痛み・アキレス腱周囲の痛みでお困りの方は、【横浜駅徒歩12分:なる.整骨院】へご相談下さい。