二か月前からの膝の痛みが3回で改善
※あくまで個人の感想であり、皆様に同じ効果が出るという事ではございません。
治療期間 |
約2週間(3回) |
治療内容 |
|
考察 |
膝の痛みを診る際に大腿直筋と膝窩筋の評価は必須。 また変形・軟骨のすり減り=痛みの原因とは限らない。 |
レントゲンでは異常なし
今回は右膝の痛みでお困りだった女性の症例です。この方は趣味でバレエとエアロビをされているのですが、ご来院の約二か月ほど前から急に階段の下りや膝を曲げたときに痛みを感じるようになったそうです。その後、整形外科を受診した結果、レントゲンで異常はなく少し膝に水が溜まっているかもしれないとの診断。大量に溜まっているわけではないので、水は抜かずに低周波でのリハビリを行っていたものの症状にあまり変化がなかったそうです。
大腿直筋(前もも)の影響
一概に膝の痛みと言っても原因は様々ですが、優先的に診ていくポイントは存在します。その一つが大腿直筋(前もも)の緊張・柔軟性です。大腿直筋のトリガーポイントによって痛みが出現する部分はちょうど膝に該当します。また膝を曲げる屈伸動作は、大腿直筋が十分に伸びなければいけません。
大腿直筋の過緊張は触った段階でかなり明確でした。柔軟性に関しては写真のようにうつ伏せの状態で踵をお尻に近づけ、その間の距離をみることで把握することが出来ます。本来は踵がお尻に付くのが理想的ですが、YMさんの場合右だけ15~20センチ程間隔が空いてしまっておりました。
実際にこの大腿直筋を緩めて無理のない範囲でストレッチするだけでも、屈伸をする際にの痛みは大幅に減少しました。
膝窩筋の緊張
もう一つ今回の膝の痛みに大きく関与していたのが膝窩筋です。先程の大腿直筋に比べるとかなりマイナーな筋肉ですが、この膝窩筋の状態の評価も膝の痛みを診ていく上で欠かせません。
膝窩筋は画像のように膝上(外側)~膝下(内側)にかけて走行している比較的小さい筋肉です。膝の真裏に付着していることもあり、日常的に非常に酷使されています。その結果、膝窩筋が慢性的に緊張している状態になってしまうのです。膝窩筋が緊張している場合は、ちょうど〇の部分にゴリゴリと触れる事が出来ます。
YMさんの場合、痛みのある右側の膝窩筋だけがゴリゴリと触れる事ができました。こういった慢性的に固まってしまった部分に対しては、少し強めに刺激を入れる必要があります。少し痛みを伴うことが多いですが、3回できっちりと緊張は触れなくなりました。
膝の痛みに関する誤解
膝の痛みで病院に行き『膝の変形ですね』『軟骨がすり減ってますね』『骨と骨の間が狭くなっていますね』と言われ経験はありますでしょうか?一般的に膝の痛み=軟骨・変形といったイメージがあるかと思います。
しかしそれは必ずしも痛みの原因とは限りません。実際には軟骨自体には痛覚(痛みを感じるセンサー)は存在しません。つまり軟骨が減ったからといって必ずしも痛みを伴うわけではないのです。ただし軟骨がすり減っていくことで骨同士が直接ぶつかっていれば、立ったり歩いたりするだけでも痛みがあるでしょう。
当院では膝の痛みを診ていく際、全14項目ある当院オリジナルの評価シートを用いています。変形や軟骨の状態も含まれていますが、それ以外に最低でも12項目も膝の痛みの原因となりえる要素があるのです。
もし今膝の痛みで手術を検討されている方がいらっしゃったら、本当に痛みの原因が変形だけによるものなのか、一度確認してみることをお勧めします。
【参考】変形性膝関節症とは?