ランナー膝(腸脛靭帯炎)とは?
ランナー膝という言葉を聞いた事はございますか?ランナー膝とは、太ももの外側かつ膝に近い部位の筋肉が膝の曲げ伸ばしにより、大腿骨と摩擦を生じる事によって起きる炎症です。
腸脛靭帯とは?
腸脛靭帯(読み方:ちょうけいじんたい)とは、矢印が示す白い縦長に走る靭帯です。がしかし・・・アメリカ解剖学教室の教授の話によると元々は靭帯ではなく、元々は筋肉であったが赤ちゃんの頃から横に倒れまいと支えているうちに強靭に発達した筋肉であるという事でした。確かに、赤ちゃんてふらふらと横に倒れそうで危ないのをよく見かけますよね。
どんな人がなるの?
- マラソンなど長距離を走る方
- 急によく歩くようになった、走るようになった方
膝の曲げ伸ばしが繰り返される方に多く、最近では、ランニングブームですからランニングをされている方。また、これまでデスクワークだったのが荷物を運んだり、営業に変わったりと急に歩くようになった方にも見られます。
症状
ランニング、小走り、階段昇降時などに膝の外側かつ少し上の部分に痛みを生じます。上記の赤丸の部位付近に痛みを感じます。
原因およびなりやすい方
ランナー膝(腸脛靭帯炎)になりやすい原因として考えられるのは、
一番は、足首が内に入りやすくふくらはぎの外側から太ももの外側が伸ばされて硬くなっている事(5.6番参照)
1 元々運動不足だった・・・
日頃使用していない筋肉を急に使う事で痛みを生じやすいので、柔軟や少しずつ動く様に心がけてください。
2 大腿筋膜張筋が硬い・緊張している
そもそも腸脛靭帯と連結している大腿筋膜張筋が硬いことで起こりやすいと考えられます。
3 お尻(大殿筋・中殿筋)が硬い。使えていない・弱い
2番とも関係が深いですが、お尻の筋肉の緊張やしっかりと使えていない場合でも、腸脛靭帯に負荷が掛かり痛みを起こす要因となりえます。
4 前腿の外側(中間・外側広筋)が硬い
外側広筋は、実は太ももの裏側まで半円状に張り巡らされています。意外と前側にしか付着していないと思っている治療家も少なくないです。つまり、腸脛靭帯の下側に潜り込んでいるので、この筋肉の硬さ、柔軟性も重要です。※この画像では、後側まで付着しているようには見えません。
5 O脚・ガニ股で膝関節のアライメントが悪い
6 足の着き方が悪い(内反:内側に入り気味)。ランニングフォームが悪い
5.6番は、共通してきます。大概は、足首が内反(内側に捻る)して着地している方が多いです。足首が内側に入り、靴の外側ばかり減っていませんか?足の着き方が悪い事、いつも同じ方向ばかりにランニング(周回)している事で膝・股関節への影響は計り知れません。腸脛靭帯炎の場合、この足の着き方により膝の外側、太ももの外側が伸長収縮(エキセントリック)されているケースが多いといえます。収縮・硬いといっても収縮して硬いだけではありません。痛みが出る部位は、上図の矢印の様に伸長された硬さによる痛みが多い事を覚えておいてください。
※画像は、サンゴ―日記さんより
7 水分不足:これは全てに共通します。
病気も筋骨格系のトラブルも何か抱えていらっしゃる方に共通するのは、水分不足です。成人の男性ならば約2Lのお水を飲むようにしてください。スポーツ中は、スポーツドリンクでも構いませんが日常生活では、お茶ではなく白湯かお水を飲むように心がけてください。より柔軟性のある筋肉が出来ますよ。
アイシングはするの?冷やした方が良いの?
全ての症状(程度)に当てはまらないので、参考までですが受傷直後のみ10分程度のみのアイシングにして下さい。受傷直後以降は、あまり過度なアイシングは、当院ではおススメしていません。
当院の治療法
1 足関節・膝関節・股関節のアライメントを整える、身体の使い方の指導。重要
2 収縮して硬い軟性のない筋肉へのアプローチ ※伸長側ではありません。
3【筋膜リリース】
肉離れをはじめケガをした場所には、必ず筋膜の癒着が起こり、そのままにしておくと柔軟性の低下やパフォーマンスの低下を引き起こしかねません。当院では『ファズブレード』という器具を用いて癒着した筋膜を整えていきます。また受傷後早期に筋膜リリースを行うことで損傷部の筋繊維が整い、回復を早めたり血腫やしこりが形成されてしまうのを防ぐ効果も期待できます。
詳しくは「筋膜リリースとは?」をご覧下さい。
4【物理療法(超音波・立体動態波・ハイボルテージ・3D微弱電流)】
当院ではトップアスリートも使用している治療器を使っており、それぞれ超音波・立体動態波・ハイボルテージ・3D微弱電流を状況に応じて使い分けながら治療致します。痛みの緩和、損傷部の回復促進、血種・しこりを取り除くなど様々な効果が期待されます。
5【テーピング・包帯固定】
損傷の度合いによっては固定を必要とするケースもあります。単にテーピングと言ってもテープを張る強さや貼り方によっても効果がそれぞれ異なり、固定を敢えてしない事で早期回復が望めるケースもあります。とにかくアイシングや固定ばかりをする治療の場合は、早期回復を遅らせてしまったり、血種やしこりが残ってしまい他のケガに繋がる可能性があるのでご注意下さい。
予防
上記の原因を逆に考えていく事が一番望ましい予防法です。簡単に出来る事をおさらいしていきましょう。
1 急に運動を始めず、少しずつ身体をならしてから始めましょう。
2 身体全体の柔軟性があるにこしたことはありません。日頃から水分をしっかり摂り、柔軟性のある身体を創っていきましょう。
3 靴の外側が減っていないかチェックしてください。減っていない場合でも親指をしっかり着いて地面を蹴っているか確認してください。また、同じ方向ばかり走っている方は、出来れば逆回りもして身体を均等に使いましょう!
4 足首の外側・ふくらはぎの外側
【参考】