グロインペイン症候群は主に運動時に鼠径部(股関節)周辺に痛みが現れる状態の総称とされています。主にサッカー選手好発し日本人でも中田英寿選手や中村俊輔選手など数々の有名選手もこのグロインペイン症候群に悩まされていたほどです。一般的には具体的な治療法は確立されておらず、放置していると慢性化しなかなか治らないというケースも多々見られます。しかし痛みの原因は様々であり、その原因が分かれば早期での改善も可能です

症状・好発部位

初めのうちはボールを強く蹴った際や全力で走った際に痛みを生じますが、徐々に悪化すると軽くボールを蹴ったり普通に歩くだけでも痛みを生じるようになり、日常生活にも支障をきたしてしまいます。

症状は主に下腹部鼠径部坐骨部睾丸部に現れることが多いですが、それ以外の場所に出現することもあります。

また以下の3つの症状もグロインペイン症候群に含まれます。(これ以外に関節周囲の軟部組織損傷なども含まれます。)

➊ 恥骨結合炎

骨盤の下部では左右の恥骨という骨が合わさっている恥骨結合という部位があります。この恥骨結合にはいわゆる腹筋と呼ばれている腹直筋や内転筋と呼ばれる内ももの筋肉が付着しています。これらの筋肉のオーバーユースにより付着部である恥骨結合に炎症を引き起こしてしまうのです。

❷ 内転筋腱周囲炎

サッカーのキック動作や切り返しでよく使われる筋肉の1つに内転筋という筋肉があります。主に骨盤から膝の内側まで付着しており、キックの際テイクバック時には引き伸ばされインパクトにかけては縮まるように収縮します。この内転筋が過度な伸張ストレスを受けたり、オーバーユースしてしまうことで損傷・炎症を引き起こします。

❸ 腸腰筋腱周囲炎

腸腰筋(大腰筋)は背骨の前側から内ももまで付着している筋肉で、股関節を屈曲させる働きがあります。サッカーにおいては主にキック動作で優位に働きますが、これもオーバーユースを繰り返すことにより損傷・炎症を引き起こします。

発症原因

基本的にグロインペイン症候群は下記の問題を抱えたまま、キックやダッシュなどの反復動作によるオーバーユースが原因となります。また股関節の周囲の筋肉に過度な負荷がかかることにより組織が損傷してしまい発症するケースも見られます。

  • 筋肉・関節の柔軟性・可動域の不足
  • 股関節周囲の筋力不足
  • 体幹と下肢の協調性の欠如
  • 骨盤・脊柱の動きの悪さ
  • 捻挫など過去の既往

クロスモーション

またグロインペイン症候群において『クロスモーション』という動きが非常に重要となります。ボールを蹴る際テイクバック時には脚を後方に振りかぶると同時に反対の手~肩も後方に引き身体を弓のようにしならせます。そしてインパクトからフォロースルーにかけては後方に引いた脚と手をそれぞれ近づけるような動きをとります。これをクロスモーションと呼び、ボールを蹴る際にこの動作が出来ていないとグロインペイン症候群を引き起こす要因の1つとなります。

クロスモーションには上半身、体幹、下半身の動きの連動性・協調性が求められ、上半身の柔軟性が欠けていたり体幹や軸足の筋力が不足し安定性に欠けていると上手く出来ません。そうするとボールを蹴る際の股関節や周囲の筋肉への負担が強くなりグロインペイン症候群へと繋がってしまうのです。

治療法

先にもお伝えした通り、グロインペインに対する画期的な治療法は確率していないと言われています。基本的には運動は中止で安静、痛み止め、湿布、マッサージ、ストレッチ、温熱療法、電機治療、アイシング、テーピングが主に治療法として行われておりますが、数か月経ってもなかなか改善しないということもあります。

【当院での治療法】

当院では痛みが出ている部分だけを治療するのではなく、まずは問診・検査において全身のバランスや身体の使い方など問題点を見つけてから1人1人に合った治療法を選択していきます。

 筋緊張・バランス調整

問題となっている左右のアンバランスを整え過緊張してしまっている筋肉に対してリリースを行います。またクロスモーションに関連する体幹や肩・肩甲骨まわりの状態も整えていきます。筋肉を緩める際はただマッサージするのではなく、より効率的に緩めることのできる手法を用いて行います。

❷ 関節調整・矯正

可動域の少ない関節に対しては調整・矯正を行います。股関節の可動性も重要ですが、サッカーにおいては足関節も大切です。足関節の捻挫をした後にそのまま可動域が低下してしまっている方も少なくありません。サッカーに好発する足関節のケガや障害への予防対策としても有効です。

矯正は必ずバキバキっと音を鳴らすわけではないので患者様への負担も少なくお子様でも安心して受けていただけます。

❸ 筋膜リリース

当院では『ファズブレード』という器具を用いて筋膜リリース治療を行います。癒着は以前にケガをした場所にも起こるものです。筋膜リリースを行うことで柔軟性やパフォーマンス向上の効果が期待されます。

詳しくはこちら⇒筋膜リリースとは?

❹ 物理療法(超音波・立体動態波・ハイボルテージ・3D微弱電流)

損傷部や痛みの強い部分に関しては治療器も併用していきます。それぞれ疼痛の緩和、損傷部の修復促進、筋緊張の緩和、血行促進など様々な効果が期待できます。

予防・ケア方法

グロインペイン症候群を予防するにはサッカーで特に負担のかかる筋肉のストレッチは非常に有効です。またクロスモーションをしっかりと出来る為には、肩まわりの柔軟性や背骨の可動性も必要不可欠なのでしっかりと対策・ケアを行いましょう。

➊ 腸腰筋ストレッチ

片膝を立て伸ばしたい側の脚を後ろに引き、背中を起こした状態で徐々に体重を前にかけストレッチしていきます

❷ 内転筋ストレッチ

片方の膝をつき、伸ばしたい側の脚を外側に開いて内転筋を伸ばします。この時、伸ばす側の膝が曲がらないように気を付けましょう。

❸ 大胸筋ストレッチ

 

90°以上手を挙げた状態で壁に手をつき、壁によりかかるような形で体重を前方に乗せていき胸を伸ばします。

❹ 背骨体操

 

四つ這いの状態で背中を丸める動きと反らす動きを交互に行います。背骨の動きを意識するとより効果的です。

【参考】股関節の痛みに関する口コミその他症例

ボーイズリーグ少年の股関節痛

股関節の痛み口コミ

両股関節グロインペインと診断された股関節痛

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