ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)とは?

ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)はスポーツ障害であり代表的なオーバーユース(使いすぎ)症候群のひとつです。主に膝のお皿の下の部分(膝蓋靭帯)に痛みを出しバスケットボールやバレーボールなどのジャンプや着地動作の多いスポーツに好発します。その他にも陸上やサッカーなど走ることが多い競技でもみられることが多いです。なるべく早期の段階で治療をしないと徐々に悪化・慢性化し治りづらくなり、運動時以外の日常生活においても痛みを出してしまう可能性があります。

また膝下脂肪体炎オスグッド(成長痛)も似たような症状を呈すため鑑別が必要となります。

当院でのオスグッド(成長痛)治療はこちら

ジャンパー膝は、④番の膝蓋靭帯部分の痛みをいいます。詳しくは下記をご覧ください。

症状・原因

太ももの大腿四頭筋という大きな筋肉の中のひとつである大腿直筋という筋肉があります。この大腿直筋は骨盤の下前腸骨棘というところから始まり、膝のお皿を超えて膝下の脛骨粗面という場所に付着します。このなかでもお皿の下からの部分を膝蓋靭帯(膝蓋腱)と呼び、この部分で炎症が起きてしまうのがジャンパー膝です。

ジャンパー膝の大きな原因となるのは大腿四頭筋の緊張・硬さによる膝蓋靭帯への伸張ストレスです。その背景として基本的には繰り返しのジャンプや着地の動作、サッカーのキック時など繰り返し大腿四頭筋を収縮させるオーバーユースが挙げられます。

しかし全員が必ずしもオーバーユースをしたからといってジャンパー膝を発症するわけではありませんよね?もちろん個人差もあると思いますがオーバーユースの他にも大腿四頭筋を硬くしてしまうポイントがあると当院では考えています。

➊ 姿勢

スポーツをしている学生さんで多いのが反り腰です。これは骨盤が前に傾き過ぎてしまうことで腰の腰椎の前弯が強調されてしまった状態です。腰痛の原因としても多くみられる反り腰ですが、ジャンパー膝においてのポイントは重心の位置です。反り腰は骨盤が前傾してしまうため重心の位置が前方に移動してしまいます。そうすると自然とバランスを取るために膝の位置を後方に持っていこうとする働きが生まれ、その結果大腿四頭筋がずっと緊張したままの状態になってしまうのです。

また反り腰の反対姿勢である受け腰も大腿四頭筋への負担が増加します。受け腰の場合上半身と共に重心の位置が後方に移動してしまうため、それを支えるために大腿四頭筋はずっと引き伸ばされていることになりジャンパー膝の発症の要因となってしますのです。

❷ 関節可動域

足首や股関節など膝の上下のどちらかもしくは両方の関節がかたい場合にもジャンパー膝の要因となります。例えばジャンプする際に予備動作として膝を軽く曲げるかと思いますが、足首がかたいと予備動作が十分に取れない為結果的にジャンプした時に大腿四頭筋の負担が大きくなります。着地においても上手く衝撃を吸収できないので同じく負担が大きくなりますね。

またバレーのスパイクやサッカーのキック時に大きく関与するのが脊柱(背骨)の柔軟性です。どちらの動作もテイクバックという弓矢を引くような動作があります。勢いのあるボールを打つ・蹴る為に身体をしならせてパワーを生み出すのですが、脊柱にしなりがないとその分を他の部位で補おうとします。そうすると様々な場所に負担がかかり今回のジャンパー膝だけでなく腰痛・股関節痛・肩の痛みなど様々な症状に繋がる恐れもあるので注意が必要です。

❸ ウォーミングアップ・クールダウン不足

練習前のウォーミングアップや練習後のクールダウンがしっかりと出来ていないというケースも多くみられます。ウォーミングアップ行う意味としては第一に身体を温め筋温を高めるということにあります。筋温が低いと筋肉の柔軟性・神経の伝達速度が不十分な状態なのでケガをしやすいのはもちろんパフォーマンスも十分に発揮できません。またクールダウン、特にストレッチやアフターケアができていないと筋肉は使いっぱなしのままなので当然硬くなりますし疲労物質も除去されにくいので質の悪い筋肉が出来上がってしまいます。

特にこのウォーミングアップ不足やクールダウンの不十分というポイントは学生さんに多い印象を受けます。普段何気なくやっているウォーミングアップやクールダウンの意味合いをもう一度確認すると良いかもしれませんね。

治療方法

〇一般的なジャンパー膝の治療法

  • 痛み止め、湿布
  • 太もものマッサージ・ストレッチ
  • 電気治療
  • サポーター・テーピング
  • アイシング

〇当院での治療法

当院ではただ単にマッサージやストレッチ、電気治療などで太ももの筋肉を緩めるというような治療は行っておりません。痛みのある場所だけではなく「痛みの根本的原因」に対してアプローチしていきます。

➊ 姿勢・バランス調整 

人の身体には『解剖学的肢位』という身体のどこにも負担がかからない姿勢が存在します。この解剖学的肢位に基づき上記の反り腰・受け腰、また骨盤をはじめ左右のアンバランスを調整していきます。

❷ 関節調整・矯正

検査において可動域が狭い関節に対しては調整・矯正を行っていきます。関節可動域が拡がることにより再発防止・パフォーマンスの向上も期待できます。

❸ 患部の治療

痛みの出ている患部に対しては「筋膜リリース」「特殊治療器」「立体動態波/3D微弱電流/ハイボルテージ/超音波」を使用し鎮痛・炎症の抑制・組織の修復を図っていきます。

詳しくは各ページをご覧ください。

予防・ケア方法

ジャンパー膝の予防・ケア方法としてはこれらの種目が有効です。

➊ 大腿四頭筋ストレッチ

上の写真の様に伸ばす側の膝を折り曲げ徐々に上体を後ろに倒していきます。急に上体をバタンと倒してしまうと危ないので最初は必ずゆっくりと行いましょう。また横向きの状態で手で足を後方に引いても同様の効果が得られます。

❷ 足首回し

手で足首を持ち時計回りと反時計回りに10回ずつ大きくグルグルと回しましょう。

❸ 背骨体操

四つ這いの状態で背中を丸める動きと反らす動きを交互に行います。

【参考】

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