アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎とは

アキレス腱とはふくらはぎの筋肉(腓腹筋ヒラメ筋)と踵骨を繋ぐ組織であり、そのアキレス腱に炎症・痛みを生じている状態がアキレス腱炎です。アキレス腱周囲炎の場合アキレス腱を包んでいるパラテノンという組織に炎症を起こしている状態を指します。正確にはアキレス腱炎と区別しますが、実際は明確に区別・判別するのが難しいです。考え方や治療・予防法においては同じように考えて問題ないかと思います。

アキレス腱炎はランニング・ダッシュ・ストップ動作・ジャンプの着地などアキレス腱に繰り返しストレスが加わることで発生します。基本的にはオーバーユース(使い過ぎ)によって起こるため非常に慢性化しやすく、難治性と言われるケースもある為、軽い症状でも油断は禁物だと言えるでしょう。

アキレス腱の解剖と役割

ふくらはぎの筋肉である腓腹筋とヒラメ筋は2つ合わせて下腿三頭筋と呼ばれ、この下腿三頭筋は踵の上部でアキレス腱となり踵骨という骨に付着しています。アキレス腱は全身の腱の中で最も強く最大の靭帯で長さは約15cm程になり、太さは上部にほど太く下部に行くほど細くなっています。

下腿三頭筋の足関節を底屈(足首を下に曲げる)させる作用ジャンプの着地などの際に衝撃の調整を行う役割を持ちます。その為、運動する際には必ずと言っていいほどアキレス腱が関与してきますが、決してアキレス腱が運動時のパワーを生み出しているわけではありません。あくまでも運動時にパワーを発揮しているのは腓腹筋とヒラメ筋で構成される下腿三頭筋です。アキレス腱は下腿三頭筋の収縮に合わせて引き伸ばされ、ジャンプの着地など足元に加わる衝撃に対してのブレーキ作用果たしています。この際に大きな力が加わりすぎてしまうとアキレス腱炎ではなくアキレス腱断裂を引き起こすケースもあります。

アキレス腱炎の症状

☑ 運動をしていると徐々に痛む

☑ アキレス腱を押したりつまんだりすると痛い

☑ アキレス腱が伸ばされると痛い

☑ アキレス腱に腫脹がみられる

☑ 朝起きた際や長時間座った後の動き初めが痛い

症状・状態が徐々に悪化すると痛みで走れなかったり、歩くだけでも痛みが生じてしまい日常生活にも支障をきたしてしまいます。

アキレス腱炎の原因

➊ オーバーユース(使い過ぎ)

まず一番の原因として挙げられるのがオーバーユース(使い過ぎ)です。特にアキレス腱に負担のかかる動きとしては長距離のランニングや繰り返しのジャンプ動作・ストップ動作・つま先立ちなどです。これらの動作が多いスポーツはより注意が必要になるでしょう。

❷ 柔軟性の欠如

決してオーバーユース(使い過ぎ)だけが原因というわけではありません。筋肉や関節の柔軟性が乏しいとアキレス腱への負荷が増加し、アキレス腱炎のリスクを高めてしまいます。特にふくらはぎや足首の柔軟性が非常に大切です。

❷ 骨盤の左右差

初期のアキレス腱炎は左右両方ではなく片方に起こることが多い傾向があります。競技にもよりますが、本来同じ負荷がかかっているとすれば同時に両方に起こるはずです。片方のみ多く発生する原因としては骨盤の左右差が挙げられます。土台である骨盤に左右差があると、足の長さも左右で変わってきてしまいます。足の長さが左右で違っていれば、同じ動作をしたとしてもやはり左右で加わる負荷が異なる為、結果として片方だけアキレス腱炎を発症してしまうのです。

❸ シューズや地面の硬さ

使用している道具やスポーツをしている環境もアキレス腱炎の発症の要因となるケースがあります。運動時に裸足だったり、使用しているシューズが硬いもしくはクッション性に乏しい場合、衝撃を吸収しきれずにアキレス腱への負担が増加してしまいます。またアスファルトなど地面が硬い状態で運動をしても同様のことが起こります。

❹ 腱の変性

人の身体の60%~70%は水で構成されているのはご存知かと思います。しかし生涯ずっと同じ水分量かというとそうではありません。年齢を重ねていくごとに体内の水分量は徐々に減少します。体内の水分量が減少するということは筋肉、靭帯、腱などの軟部組織の中の水分量も減少し、特に腱は水分量が減少してしまうことでパサパサとした質感へと変化してしまう変性という現象を起こします。変性した腱は柔軟性に乏しく軽微な外力でも損傷したり炎症を起こすようになってしまうのです。

アキレス腱における類似疾患

1 セーバー病・シーバー病

セーバー病はスポーツをしている成長期のお子様に好発するかかとの痛みのことを指し、「踵骨骨端症(読み方:しょうこつこったんしょう)」とも呼ばれます。

2 アキレス腱損傷・断裂

アキレス腱の炎症を通り越すと損傷です。そしてその先は、断裂となります。炎症〈損傷〈断裂のレベルです。アキレス腱を断裂した方はよく『後ろから思い切り蹴られた思った』という程の衝撃と『バン』と言う様な音がしたと言うのが特徴です。

アキレス腱炎の好発スポーツ

  • マラソン、ランニング
  • サッカー
  • バドミントン
  • バレーボール
  • バスケットボール
  • 剣道
  • ダンス
  • 登山

アキレス腱炎の検査・診断

当院ではアキレス腱炎を疑う場合、まずは下記の項目を確認していきます。

☑ アキレス腱部に沿って押した時の痛み

☑ 屈伸・ジャンプ・つま先立ちをした際の痛み

☑ 歩いたり走ったりするときの痛み

☑ 熱感・腫脹などの炎症反応の有無

☑ 足関節(足首)の可動域

☑ 骨盤の左右差

☑ 下腿三頭筋(ふくらはぎ)の硬さ

【医療機関での画像診断】

➊ レントゲン

レントゲンではアキレス腱そのものは映らない為、踵骨骨折や関節リウマチなどの疾患との鑑別に有効です。それ以外にもアキレス腱炎に伴って踵骨に骨棘(骨の棘)形成されていたり、石灰沈着がみられるケースがあります。

❷ MRI

MRI検査においてはアキレス腱の肥厚化や炎症反応によって白く映ることがあります。普通アキレス腱炎を疑う場合に真っ先にMRIを撮るようなことはあまりありません。しばらく治療やリハビリを続けても改善が見られない場合にMRIで精査することがあります。

❸ エコー検査(超音波)

エコー検査(超音波)もアキレス腱炎の検査には有効です。

一般的な治療(医療機関の治療)

  • 安静(運動中止)
  • アイシング
  • 湿布
  • 消炎鎮痛薬
  • 温熱療法
  • 物理療法
  • マッサージ・ストレッチ
  • ステロイド注射

アキレス腱炎は基本的には保存療法で治療を行うケースが多いです。初期の場合は数週間の安静で軽快することもありますが、運動を中止したからといって必ずしも症状が軽快するわけではないので注意が必要です。

また当院ではケガをした直後や運動後に熱感がみられる場合を除き、必要以上のアイシングはお勧めしておりません。アイシングは細胞の活動に必要なエネルギーを減らすことで炎症範囲が拡大するのを防ぎ、一定時間痛みも緩和させる効果があります。しかしその反面、周囲の血管が収縮してしまうことで血行を阻害し肝心の患部に対して栄養や酸素が行き届かない状態にもなってしまいます。アイシングはあくまでも応急処置や運動後のケアの1つであり、ケガの治りを早める効果はありません。

当院の治療

➊ 姿勢・可動域の改善

まずはしっかりと身体全体の状態をみていく為、姿勢や各関節の可動域を確認していきます。

当院では手技療法(KYテクニック・仙腸関節調整・カイロプラクティックなど)を用いて問題のある部分にアプローチをしていきます。

❷ 筋膜リリース

アキレス腱をはじめ痛みや柔軟性・可動性の低下の原因として軟部組織(筋肉・靭帯・腱・関節包など)が癒着してしまっているケースがあります。癒着(くっついている)が起きていると軟部組織が上手く伸び縮み出来ないだけではなく、本来代謝されるべき疲労・老廃物質が代謝されずに蓄積してしまったりと身体に悪影響を及ぼします。

筋膜リリース

当院では「ファズブレード」という器具を用いて筋膜リリース治療を行います。医療用ステンレス出来ている為、衛生面に優れており、少ない力でも効率的に癒着を取り除くことが出来ます。

【参考】筋膜リリースとは?

❸ 特殊治療器/立体動態波/3D微弱電流/超音波/ハイボルテージ

当院で使用してる立体動態波・3D微弱電流・超音波・ハイボルテージは日本のオリンピック選手団も使用しています。症状に合わせてそれぞれの治療器を組み合わせることでより高い効果が期待できます。また関東には1台しかない特殊治療器AAPはアキレス腱炎だけではなく様々な症状に有効です。

【参考】特殊治療器AAPとは?

❹ セルフケア指導

このようなアキレス腱炎など慢性化しやすいスポーツ障害をより早く改善させるには、自宅でのセルフケアも必要となります。当院でも院内での治療だけではなく日常生活でも行えるセルフケアをお伝えしております。

【参考】スポーツ障害に関する症例と口コミはコチラ