踵骨下滑液包炎

踵の痛みには足底筋膜炎をはじめ様々な原因がありますが、そのうちの1つが踵骨下滑液包炎です。そもそも滑液包とは関節の周囲に存在する袋状の組織であり、少量の滑液を含んでおり関節の動きを滑らかにする役割を持ちます。しかし繰り返しの圧迫や摩擦などストレスが加わる事ことによって、滑液包に炎症が起きてしまった状態が滑液包炎です。滑液包炎は踵骨下滑液包炎の他に、肩峰下滑液包炎やアキレス腱滑液包炎などが挙げられます。

【参考】足底筋膜炎とは?

【参考】肩峰下滑液包炎とは?

病態

踵(踵骨)はその周りを脂肪体と呼ばれる組織で覆われており、踵を地面についた際の衝撃を吸収することが可能です。その脂肪体の中に存在しているのが踵骨下滑液包です。繰り返しの衝撃や摩擦によって踵骨下滑液包で炎症が起こってしまうと踵骨下滑液包炎、脂肪体に炎症や損傷がある状態を踵骨下脂肪褥(しょうこつかしぼうじょく)・ファッドパッド症候群とそれぞれ呼びます。踵骨下滑液包炎の場合、画像の踵骨下滑液包の部分に痛みが生じます。

【参考】踵骨下脂肪褥(しょうこつかしぼうじょく)・ファッドパッド症候群

症状

☑ 踵をつくとズキズキ痛い

☑ 少し熱を持っている

☑ 腫れを伴うケースもある

☑ 動き出しの一歩目が痛い

原因

  • 繰り返しの刺激・ストレス(機械的刺激)
  • 重心やバランスによる影響
  • 細菌による感染症

治療法

➊ 免荷

他の踵の症状と共通しますが、まずは患部へのストレス・負担を減らしてあげなければいけません。これを免荷と言いますが、当院ではジェルヒールカップという衝撃吸収性に優れたソールを入れていただいております。

❷ 電気

患部である踵骨下滑液包に対しては治療器を用いて治療を行っていきますが、患部の状態によって治療器やモード・出力は調整していきます。炎症反応がある場合は炎症の抑制を、炎症はないものの痛みがある場合には発痛物質の除去・代謝を助けるよう治療器を使います。

【参考】立体動態波/超音波/3D微弱電流/ハイボルテージ/定電流治療器

❸ 姿勢・バランス

踵骨下滑液包炎をはじめとした踵の症状が起こりやすい方の特徴が『後方重心(踵重心)』です。画像のような姿勢で歩くと踵を引きずるような歩き方になってしまい踵への負担が増加してしまいます。靴底の踵部分だけがすり減っている方はこれに当てはまるケースが多いため注意が必要です。

また片側に症状がある場合、骨盤の歪みや左右のバランスが崩れているケースが多くみられます。これは急にできたものではなく日常生活において徐々に形成されていると思って下さい。

❹ 生活指導

踵の症状は非常に慢性化しやすく一般的には難治性と言われています。治療を行うことも大切ですが、普段の生活においてご自身で注意していただくことも必要です。

  • 指導したセルフケアを実施してもらう
  • アルコールや糖質の摂取は控える
  • なるべくお水をたくさん飲む
  • 過度な運動などは避ける

 

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