手や腕のしびれ|痛み|麻痺
※すべての記事は、あくまでも当院の見解です。
みなさん、恋人や奥様・お子様に腕枕をして、おやすみになられる方も多いのではないでしょうか。その際、腕がしびれた経験はありませんか?それがまさに、橈骨神経障害です。ハネムーン症候群やサタデーナイト症候群など例えて表現されることもあります。
末梢神経障害の中でも、橈骨神経障害は、比較的多く見られます。橈骨神経障害と聞くと、「なんだか難しいことを言ってるな」と思う方もいるかと思いますが、意外と身近におきていることなのです。例えば、夜お酒を飲み、泥酔しておやすみになり、朝起きたら手にしびれが生じていたり、手首が動かなくなる方もいらっしゃいます。橈骨神経障害(又は橈骨神経麻痺)は、実は身近に誰にでも起こりうるものなのです。ただ、橈骨神経障害(橈骨神経麻痺)は治療を続けることで軽快するするケースが多いので、最初の症状には驚くかとは思いますが、あせらず、専門家に相談してください。
【参考】歯科医師の橈骨神経麻痺
【参考】美容師さんの橈骨神経麻痺治療
橈骨神経障害とは?
※緑色のラインが橈骨神経の走行になります
橈骨神経とは、腕の付け根あたりから腕の骨をまくように走行しています。肘のあたりで前腕の内側を走り、手首まで走る神経です。橈骨神経は、骨のまわりを複雑に走っている神経になるので、いろんな場所で障害をうける可能性をもっています。橈骨神経の役割としては、手首を反らしたり指を伸ばす筋肉を支配しており、そのため橈骨神経が麻痺すると※下垂手という現象がおきるのはこのためです。橈骨神経の枝分かれした運動指が麻痺した場合は※下垂指がおこります。
橈骨神経障害にはもう一つあり、後骨間神経障害(又は後骨間神経麻痺)というものがあります。橈骨神経は首から手の方にかけて走行していますが、障害される部位により症状も違います。上腕の中央部で障害を受けた場合、橈骨神経障害で、肘関節部分で障害されると後骨間神経障害と分けられます。では、後骨間神経障害とは一体どういったものなのでしょうか?
※下垂手とは、手首と手指の付け根が反らせなくなる状態(橈骨神経麻痺)で、下垂指は手首は反らせるが手指の付け根の関節が反らせない状態(後骨間神経麻痺)の事
後骨間神経障害とは?
※上記の図が肘周囲の解剖の図です。フローセのアーケードと言われる部分に後骨間神経が侵入しているのが分かります。この侵入部分での絞扼が非常に多いです。
後骨間神経とは橈骨神経の深枝といわれている部分の事を指しております。橈骨神経の本幹は肘関節のあたりで知覚枝と運動枝にわかれますが、その枝分かれした運動枝が「フローセのアーケード」と呼ばれる所を通過するのですが、この部分で、神経が圧迫を受けやすいのです。これが後骨間神経麻痺になります。運動枝のみが障害されているので、感覚的なところは、なにも問題はありません。橈骨神経障害の場合、手首、手指の動きが制限をうけますが、後骨間神経障害の場合は指の付け根の動きは制限されますが手首の動きは制限されません。これが決定的な違いです。後骨間神経障害は多くはないのですが、そのゆえ見逃されやすい疾患にもなるので注意が必要になります。
橈骨神経障害・後骨間神経障害の症状
- 手の甲にしびれを感じる(手のひらには感じることはない)
- 指や手首を反らす力が低下する
- 親指を外に広げる力が低下する
- 橈骨神経麻痺の場合は下垂手を呈する
- 後骨間神経麻痺の場合は下垂指を呈する(手首の動きに制限はない)
橈骨神経障害・後骨間神経障害の原因
橈骨神経の障害・麻痺に関しては、上腕骨骨折や上腕骨顆上骨折などの骨折、圧迫などにより生じることがあります。後骨間神経の障害・麻痺は、ガングリオンなどの腫瘤、橈骨頭の脱臼、尺骨の骨折などの外傷などで生じます。外傷以外ですと、長時間の圧迫であったり、同じような姿勢でいることによる組織の癒着、日常生活で前腕のひねる動作が多いなどが挙げられます。
- 骨折、脱臼などによる後遺症
- 長時間、松葉杖で脇の下を圧迫する事(橈骨神経障害以外の別の神経症状の可能性もあります)
- 長時間の神経圧迫(就寝時の腕枕など)
- 日常生活での繰り返しの動作や動作の癖
橈骨神経障害・後骨間神経障害の診断
医療機関だと一般的には、まず初めにレントゲンをとるかと思いますが、レントゲンでは判断できません。問診の際に、橈骨神経障害・橈骨神経麻痺であれば、下垂手又は手首・指が反らしずらいといった症状と感覚障害があるかどうかで判断します。後骨間神経障害・後骨間神経麻痺の場合であれば、下垂指又は手首に力は入るが、指の反らす動きがしづらいといった症状と感覚障害がないことで判断できます。また、どちらも※チネルテストで障害部位を特定することも重要です。確定診断には、MRI、超音波検査、筋電図検査などを必要に応じて行います。
※チネルテスト→神経の損傷や圧迫を受けていると疑う部分を打腱器や手などで叩き、離れた場所に放散痛が生じた場合、神経の何かしらのトラブルを疑うテスト法
類似疾患
①テニス肘(外側上顆炎)
橈骨神経障害と鑑別していただきたいのがテニス肘です。当院にもテニス肘でお悩みの方々が多数来院されていますが、まれにテニス肘だと思ってご来院されたら橈骨神経障害だったという方が過去に何人か見られました。ぞうきんを絞るような動作や肘の外側が痛むなど症状も似ていますので注意が必要です。2つの違いとしては、橈骨神経障害とテニス肘では、圧痛の位置に違いがありますし、テニス肘の検査(トムゼンテスト、中手伸展テスト)では、橈骨神経障害では痛みが出るケースは少ないです。症状としても、橈骨神経障害だと安静時痛、夜間痛、筋力低下などありますが、テニス肘の場合は運動時痛が主なので、問診でお話しをしっかり聞く。検査、評価のためにお身体をしっかり診る事が大切ですね。
②頚肩腕症候群(頚椎症・胸郭出口症候群など)
橈骨神経のラインに痛みや痺れがある場合は、もとを辿れば首や肩から原因が生じているケースが多いです。痛い部位だけでなく総合的に判断し施術していくことが大切です。
【参考】頸椎症
【参考】頚肩腕症候群
【参考】胸郭出口症候群
一般的な治療
保存療法
・投薬療法
橈骨神経障害・後骨間神経障害に限らず、末梢神経の障害による痛み、しびれに対しては、消炎鎮痛剤やビタミン12の投与が多いようです。消炎鎮痛剤は炎症を抑える効果があります。また、ビタミンB12は末梢神経の修復に関わりがありますので、この薬で痛みやしびれの軽減を期待します。ただこれを飲んで数日で劇的な改善を期待することは難しいかもしれません。ビタミンなど栄養素はやはり日々、食材から摂取する事が好ましいと考えます。
【参考】リリカの副作用 / ロキソニンの副作用
・注射療法
橈骨神経障害では、あまり注射を使用することはないですが、症状が長引いている場合だとステロイド注射を行う場合もあるようです。
【参考】ブロック注射の効果とは?
・リハビリでの可動域訓練
橈骨神経麻痺・後骨間神経麻痺では関節が固まってしまうケースもあります。それを無理やり、動かないものを動かそうとして可動域訓練のみをしても、なかなか可動域の向上にはつながりません。そのような状態なら、まずは無理やり動かす前に、動かせる準備を整えるために周りの軟部組織の状態を考慮してから行うことが良いでしょう。
当院の治療
橈骨神経障害は、他の末梢神経障害と比較すると予後は良いとされています。しかし、治療を行うのと行わないのでは、圧倒的に治る速さが違います。違和感、痛みを感じたら、早期の治療が早期復帰の近道です。
➊筋膜リリース
軟部組織(筋肉・腱・靭帯・筋膜)が癒着していることにより、痛みを生じているケースもあります。癒着することにより、痛みの物質や疲労物質がうまく代謝されず、痛みを引き起こしていきます。癒着が原因の場合には、筋膜リリースで症状の改善を図っていきます。
【参考】筋膜リリースとは?
❷特殊治療器/立体動態波/3D微弱電流/超音波/ハイボルテージ
患者さんの状態に合わせて、治療器を選択していきます。急性期の場合でも使用できる治療器もありますので状況に応じて使い分けていきます。当院では日本のオリンピック選手団も使用している立体動態波・3D微弱電流・超音波・ハイボルテージを使用し、また関東に1台しかない特殊治療器AAPは、細胞レベルでアプローチでき、とても効果的です。
【参考】特殊治療器AAPとは?
❸トリガーポイント
筋肉に繰り返し負荷を加えたり酷使をすることで、局所的な血行不良とそれに伴う酸素欠乏を引き起こします。すると部分的に圧への感度が高い過刺激性のポイントが形成されこれをトリガーポイントと呼びます。トリガーポイントにより、下肢のしびれを出しているのは、ここ最近では有名になってきていますが、手のしびれでもトリガーポイントが影響していることもあります。また、トリガーポイントの特徴としては、トリガーポイントそのものと離れた場所に痛みを生じることがあるため他の疾患と誤認されてしまったり見落とされてしまうケースも多い為、注意が必要です。
➍カイロプラクティック
頸椎のサブラクセーションを検査する事も重要です。頸椎の歪みが神経伝達に悪さをしているかもしれません。【なる.整骨院】では筋肉の弛緩・血流改善(患部の治療)・神経伝達からの改善(脊椎)、双方からの施術が早期改善のカギとなると考えております。
【参考】当院の治療方針
手のしびれ、足のしびれなどでお困りの方は横浜駅徒歩12分【なる.整骨院】にご相談ください。